2020年教育心理学会自主シンポジウム企画について

2020年9月15日―17日に開催される日本教育心理学会第62回総会 で,自己調整学習研究会メンバーの企画による自主シンポジウムを行ないます。
今回は大学や高等教育での授業外学習に注目します。ご関心のある方はどうぞご参加ください。
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「大学における授業外学習・自主学習の支援―自己調整学習の観点から」
話題提供者 犬塚美輪(東京学芸大学)・篠ヶ谷圭太(日本大学)・藤田哲也(法政大学) 指定討論者 伊藤崇達(九州大学)
司会 岡田涼(香川大学) 企画者 犬塚美輪・岡田涼・中谷素之(名古屋大学)
概要
本シンポジウムでは,大学における授業外学習に注目する。アクティブ・ラーニングや反転学習が取り入れられるなど,様々な形で大学生の自律的な学習に対する注目が高まっている。こうした動きに関連して,授業外の学習の課題設定や取り組みの促進が大きな課題のひとつとして認識されていると言えるだろう。一方,教育心理学の研究や大学教員の実感からは,学生たちが授業外の学習に必要な物理的リソースの不足,また自律的な学習に必要な方略や学習習慣の不足,それを補う方策や,明示的指導が十分になされていないことが指摘されてきている。
自己調整学習研究では,大学生の自律的学習の促進に長年取り組んできた。本邦の研究においても大学生の学修を促進する要因の検討などが蓄積されている。自己調整学習の理論では,学習者が自らの学習を主体的自律的に取り組むことを重視する理論である。学習を,予見・遂行コントロール・自己省察の三段階から構成される循環的なプロセスとして捉え,それぞれの段階で,学習者が認知的方略を適切に用い,学習状況のモニタリングとコントロールを実行することで,学習を進めていくことが効果的な学習の鍵となると考える。ただし,これまでの研究では,授業内での取り組みや学習者の個人差に着目したものが多く,授業外での取り組みを分析したものは少ない。
そこで本シンポジウムでは,大学での授業外の学習をどのように促進するか,学習方略や学習習慣の形成,動機づけに注目して検討したい。